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原作小説『阪急電車』(有川浩/著)の登場人物

こちらのページでは、小説『阪急電車』の登場人物について解説しています。ストーリーを彩る個性豊かなキャラクター像の数々をお楽しみ下さい。リンクをクリックすれば、映画『阪急電車』でその役を演じた出演者(キャスト)さんの詳細をご覧いただけます。

征志

小説「阪急電車」のオープニングを飾る人物。職種は不明ですが社会人になって5年目の会社員で、二週間に一度のペースで宝塚市中央図書館に通い、本のまとめ借りをする読書好きの男性です。自宅の最寄り駅は小林駅で、小林駅前の西図書館まで利用するというから相当な活字中毒ですね。人あたりはよく、のんびりした関西弁で冗談を交えながら話す様子は、周囲の人を和ませていると思われます。女性にはあまり積極的ではないようで、ギリギリのところになってようやく行動を起こすタイプです。

ユキ

征志と同じく宝塚市中央図書館のヘビーユーザーでロングヘアの美人。職種はわかりませんが、おそらく20代の会社員です。いつものように貸出限度数まで本を借り、阪急電車に乗ったところ、図書館でよく見かける征志を見つけて隣に座り、武庫川の中洲の文字をテーマに話しかけます。さらに自宅最寄りの逆瀬川駅で降りる前に自分の方から「次会った時、呑みにいきましょうよ」と征志を誘うなど、読書好きの草食に見えて実は肉食系。電車内での他人の口論に割って入るなど、喧嘩っ早い一面もあります。お酒好きで、しかも強く、酔っても崩れないタイプ。1人で飲みに行くこともあるようです。

翔子

美人で仕事もできるOL。大阪の御堂筋にある会社に入社半年後から同じ会社の男性と付き合い始めて5年、お互いに結婚を具体的に考え始めたところ、同期の冴えない女にその男性を寝とられます。誇り高く、屈辱を与えられたらただではおかない性格のようで、元彼と寝とり女の結婚式に自分を呼ぶことを強要し、白いドレスで参戦。その後も、会社で悲しみに耐える女を演じて周囲の同情を買い、元彼と寝取り女を追い詰めてから転職したというから、決して敵に回してはいけないタイプですね。転職先は三宮のデザイン会社。同時に、例の結婚式帰り、時江のすすめで立ち寄って気に入った小林駅近辺に移り住みます。映画版『阪急電車』では中谷美紀さんが演じます。

時江

仁川駅の西側に住む老婦人。夫が遺してくれたという家にミニチュアダックスのケンと一緒に暮らしていますが、頻繁に息子夫婦から孫の亜美ちゃんのお守を押しつけられている模様です。孫は可愛いようですが、一線を引いており、「おばあちゃんの意地悪」と言われてしまうことも。翔子やミサなど様子が普通ではない若い女性を見かけると、声をかけずにはいられない自称「野次馬ババア」ですが、どんな時も毅然として、淡々と自分の感想や事実を述べるだけという点は、普通のおせっかいおばさんとは一味違います。かと思えば、趣味のデコパージュを作りまくって、息子夫婦の家に持ち込み、嫁に嫌がられるという普通のおばさん的な一面も。映画での配役は宮本信子さんとなっています。

ミサ

ちょっと派手目の女子大生。あけすけに物を言う性格で、自分が間違っていると思うことに対しては一言言わないと気が済まないよう。また、イケメンの元彼のカツヤとは、出会って意気投合して間もなく事に及んでしまうなど、奔放なところがあるようです。しかし、通い女房のようにカツヤの身の回りの世話をさせられたり、カツヤから殴られたりしても耐えてしまうという古風な一面も。時江の助言で別れる決意をしたものの、つきまとうカツヤから逃れられずにずるずると半年もひきずってしまうなど、出会う男性次第で人生が変わってしまいそうな危うさがあります。自宅最寄りの駅は小林駅。同じ小林に住む翔子と、今後交流が生まれる可能性があります。映画『阪急電車』のキャストは戸田恵梨香さんです。

カツヤ

ミサの彼氏の大学生。イケメンですが、女を家政婦のように扱い、手を上げるということさえする最低な男として描かれています。怒りの沸点が低く、自分より相手の女性の方が物を知っているというだけで、キレてしまう男。そんな彼にとっては、相手から一方的に別れを告げられるなど、あってはならない事態。しつこく後を付け回し、暴行、脅迫もいとわないというから厄介です。ただ、おそらく顔がいいということで、これまでさんざん女性から甘やかされ、そのような人格が形成されたと思われますので、ミサ達から徹底的に面子をつぶされて、何かが変わったかもしれません。更正を祈りたいところです。映画では小柳友さんが演じます。

悦子(えっちゃん)

甲東園駅の近辺の進学高に通う高校3年生。看護系の学校への進学を予定しています。本当は、圭一と美帆が通う「ええとこ」な大学に入りたかったのですが、成績が振るわず断念。その際に教師から心ない言葉をかけられ、いたく傷つきますが、彼氏の愛情に救われます。ちなみに、その彼氏というのは社会人ですが基本的な漢字が読めず、悦子は、その彼のおバカぶりをネタにして、クラスメイトたちのウケをとっています。悦子もクラスメイトも、仲間といる時は賑やかでノリのいい典型的な関西人女子。電車の中で盛り上がりすぎて、大人たちのひんしゅくを買ってしまうこともしばしばでしょう。映画版『阪急電車』では有村架純さんが演じます。

小坂圭一

甲東園駅近辺の関西有名私大に通う学生。背が高く、パンク風(「風」がつくところがミソ)の服装をしていると描写されています。通っている大学は、流行りのファッションに身を包んだ学生が多いところなので、おそらく学内でちょっと浮いた存在ではないでしょうか。出身は広島で、西宮北口駅からちょっと離れたところにあるアパートに1人暮らし。高校時代は軽音所属でしたが、戦闘機に異常に詳しいなど、軍事オタクでもあったため、そのことを女子に馬鹿にされて全くモテず。美帆と出会う前は、彼女いない歴イコール年齢でした。美帆と付き合うようになってからは、彼女の不思議ちゃんな言動に振り回されつつ、「可愛い」仕草や言葉にメロメロに。映画の配役は勝地涼さんです。

権田原美帆(ゴンちゃん)

圭一と同じ甲東園駅近辺の関西有名私大に通う学生。小柄でショートカット、シンプルなパンツルックという服装で、周囲の女子学生と比べるとやや地味目です。権田原(ごんだわら)というゴツい名字で、あだ名はずっとゴンちゃん。この名字のせいで男子に対して積極的になれず、圭一に出会う前は、彼氏いない歴イコール年齢でした。長崎の田舎出身で、阪神国道駅近辺の叔母の家に下宿。素朴で素直な性格ですが、いわゆる「不思議ちゃん」の傾向があり、日々の生活でちょっと珍しいものを見つけるのが趣味だったり、圭一とのデート中にありえないくらい可愛い言動をしたりと、実は全部演出なのでは? と、ついつい勘ぐってしまう女子像です。映画版キャストは女優の谷村美月さんです。

康江(イトーさん)

ミサと翔子が電車の中で遭遇した奥様軍団の一人。奥様軍団の中では最も地味で、とろくさいことから、他のメンバーになめられています。しかも本人は、好きでこのグループに参加しているわけではなく、子どものPTAが一緒だったという縁で始まった付き合いから抜け出せないだけというから、何ともやりきれません。スーパーでパートをして貯めたなけなしのお金で、嫌々ブランド物のバッグを買い、高級なランチを食べに行く。傍から見たら何をやっているんだろうと思われますが、おそらく軍団のリーダーに嫌われてしまった過去のメンバーがどんな目にあったか、よく知っているので怖くて動けなかったのでしょう。ミサとの会話で改心し、ぜひ新たな一歩を踏み出してほしいと思います。映画では南果歩さんがこの役を演じます。

おばさん軍団

康江が属している奥様グループ。ひらひらのワンピースにフェイクファーのコート、大振りのアクセサリーにブランドもののバッグというド派手ないでたちで、香水の臭いをぷんぷん漂わせ、電車の中ではなりふり構わず席取り、大声でしゃべりまくるという関西のおばちゃんの悪いところを凝縮したような一団です。上流ぶっていますが、実はそうでないことは周りから見て明白。本人達もその点は自覚しており、時江のような本物の奥様然とした人にはコンプレックスがあると思われます。

亜美

5歳になる時江の孫。犬が好きで、時江とその愛犬と一緒に、宝塚ファミリーランドの跡地にあるドッグガーデンに行くのを楽しみにしています。好物は、花のみちのソフトクリーム。やや我が儘ですが、甘いおばあちゃんではない時江には全く通用していないのが気の毒なところです。電車の中では、子どもらしく空気を読まない言動で翔子を涙させたり、カツヤをさらにキレさせたり、奥様たちを激怒させたりと、物語を盛り上げるのに一役買っています。映画版では天才子役の誉も高い芦田愛菜さんが演じます。

悦子の彼氏

大卒で社会人2年目。悦子とは5歳違い。阪急神戸線塚口駅前で悦子をナンパしたのがきっかけで付き合い始めました。悦子とは真剣に付き合っていますが、今、事に及んでしまっては淫行になってしまうのでは? ということで欲望と戦いつつ、悦子が年をとってくれるのを待っている健気な男性です。あり得ないくらい基本的な漢字が読めず、その点では悦子からはバカにされていますが、悦子が落ち込んだ時にはしっかりと包み込んでくれるあたりは、さすが大人です。映画版では玉山鉄二さんが演じます。

マユミ

ミサの中学時代からの友人で、お互い家族ぐるみの付き合いがある間柄。大阪狭山市の実家に住んでいます。ミサとは、幼いころから色々な体験を共有しあった仲で、ミサ同様気が強く、友情に厚い人物。ミサが自分に悩みを相談しなかったことに真剣に怒ってくれる親友として描かれています。空手をやっている兄がいて、兄妹仲はとても良好。兄妹揃って、ミサの元カレ、カツヤの撃退に一役買ってくれます。映画では兵庫県出身の相武紗季さんがマユミ役となっています。

謙吾

マユミの兄。大阪市内在住で、通っている大学で空手部の副主将を務めています。用心棒として、ミサと、ミサにつきまとう元カレのカツヤの話し合いの席に駆り出されました。話し合いの席では、鍛え抜かれた体格と終始余裕ある大人の態度でカツヤを圧倒し、ミサを感心させます。一方、謙吾も、子供の頃から知っている妹の親友、ミサと久々に再会し、好感を抱きます。