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原作小説『阪急電車』(有川浩/著)とは

『阪急電車』は、有川浩(ありかわ ひろ)さんによる阪急電鉄の今津線を舞台とする小説です。

今津線の北の起点の宝塚駅から、神戸線との乗り継ぎ駅である西宮北口までの8つの駅の名前を冠した短編が、それぞれ往路と復路で全16話。各エピソードは電車の進行順につながっており、読み進むうちに、自分も登場人物たちと一緒に阪急電車に乗っているような気分にさせられます。

作者の有川さんご自身が、学生時代に今津線沿線に住んでいたということで、描き出されている沿線の風景は非常にリアル。

一読してすっかりこの小説のファンになってしまった私は、実際に各駅で降りて、駅周辺をリサーチしてみたのですが、スーパー、ファミレス、病院、果ては山の斜面に生えている植物に至るまで、フィクションはほぼ皆無と言っていいでしょう。

「宝塚」という地名に惑わされがちですが、実は田舎の小さな路線である今津線の真実が垣間見えます。

そんなリアリティあふれる舞台に入れ替わり立ち代り現れる登場人物は、恋にうつつを抜かす若いカップルだったり、不実な恋人に傷つけられた女性だったり、騒がしいおばちゃんや女子高生だったり、品のいい老婦人だったりと様々。

しかし、皆、それぞれに純粋なところ、弱いところ、どす黒いところを併せ持っているあたりが実に人間くさく、読み終わった後には人生がより愛しく思えてきます。

そんな小説『阪急電車』の初出は、2007年、幻冬舎の隔月刊の文芸雑誌『papyrus』の連載。単行本が2008年、文庫が2010年に発行され、ラジオドラマ、漫画にもなった人気作です。2010年には、中谷美紀さん主演の映画版の制作も決定しました。