サンビオラ3番館

宝塚大橋から望むサンビオラ3番館

宝塚大橋から望むサンビオラ3番館

小説「阪急電車」の宝塚南口駅の章で「寂れて歯抜けだらけではあったが二階建てのショッピングモールがあったのに」と語られているのは、宝塚南口駅前のロータリーとは道路を挟んで向かい側、宝塚大橋のたもとにかつてあった「サンビオラ3番館」のことだと思われます。

1階2階が店舗、その上層階が住居となっていた複合ビルで、二階建てではなかったのですが、宝塚南口付近には、最近取り壊されたショッピングモールが他にないことから、間違いないでしょう。

サンビオラ3番館とは、1970年代、全国初の地方自治体による市街地再開発ビルとして建設された建物でした。

今ではとても信じられない話ですが、当初は最先端のショッピングエリアとして賑わっており、宝塚歌劇を観劇して、南口で買い物をするのがお洒落とされていたそうです。

私がこのエリアをよく知るようになったのは、2003年頃でしたか。その頃は、すでに昔の栄光は見るかげもなく寂れきっていましたが、サンビオラ3番館の、少なくとも道路に面した1階部分は、まだテナントで埋まっていました。タカラジェンヌのポストカードがたくさん貼られたパン屋さん、はんこ屋さん、ペット屋さん、サンドイッチ屋さん、喫茶店など。「す味れ小路」という横丁を模した飲み屋街もありま した

それが、建て替えのための取り壊しが決定すると、テナントの移転が相次ぐようになり、まさに歯抜けの状態がしばらく続いた後、サンビオラ3番館は閉鎖され、40年の歴史に幕を下ろしました。

現在(2010年)は、その跡地に、28階建てのタワー型のマンションが建設されているところです。閉鎖から取り壊し・着工までは、1年くらいブランクがあったでしょうか。

その間は、空っぽになったビルが高い塀に覆われ、寂れムード全開だったような気がします。「再開発なんていつかかるのか」という記述から、小説「阪急電車」の取材はこの時期に行われたと推測されます。